アドリブソロについて-4

さて、長らく時間が空いてしまいましたが、このシリーズの最後の記事を書こうと思います。


③の中間のタイプ。

事前に用意したフレーズを演奏する①と、インスピレーションの②を単純に合わせたものです。



完成度の高めな演奏と、ハラハラどきどきな演奏の両方の良いとこ取り、とも言えます。


このタイプは①の方式が満足できなくて②を取り入れる、という流れが多いように思います。



ジャズスクールのレッスンだったり、音楽大学だったり、そういう教育機関で習得しやすいのは基本的に①です。

②の方法は誰も教える事ができません。


②だけでやる人は、教育機関からはみ出してしまうので、そういうところに行かないか、行ってもはじき出されるのがオチです。


③は良いとこどりのタイプに思えますが、これにも欠点はやはりあるのです。

それは、中途半端な演奏になりやすいところです。


①も当然ある程度追求してやりますが、これ専門でやっているプレイヤーよりは完成度が下がります。

また、②専門の人よりはハラハラどきどき感は減ります。


ドラクエⅢで例えるなら、何でもできるがどれも一流じゃない最初のころの勇者、みたいな位置づけになりがちです。



しかし、両方をひたすら追求していけば、成長した勇者になる可能性があると思います。
ドラクエⅢ未経験の人のために解説しますが、成長した勇者とは、簡単に言えば最強なのです。



①に近いプレイヤーは、ソニー・ロリンズ。
②に近いプレイヤーはチャーリー・パーカー。



学生時代、アドリブソロとは何なのか、というのを散々考えました。

②の方式でみんなやっているのかと思いきや、実際に音を取って研究してみると、それぞれのプレイヤーが同じフレーズを何度も繰り返し使っているのがわかります。

しかし、そのパターンが多いか少ないかで色々わかってきます。


①の方式は、厳密にはアドリブソロではない、と断言しても良いと思っています。

かといって、これを放棄すると、なかなかまともな演奏になりません。


しかし、最終目標は聴いて良い音楽が演奏できれば良いわけですから、突き詰めるとただの方式の違い、好みの違いです。



自分がどれを採用するかにあたって、悩みました。

僕がプロを目指し始めた頃というのは、楽器のテクニックもほぼ無いですし、耳も悪ければリズム感も悪く、勘も鋭くない。

元々の素質に恵まれているわけでもない、ただのやる気だけある青年でした。


こんな人が採用するのは、①である場合が多いです。
しかし、どうしてもそれだけで満足できない欲張りだったのです。

①すらまともにできなかったのに…。



という事で、結局は自分の向き不向き、好みで選択されるものなのです。

登る山の頂は同じですが、どのルートを辿るか、だけの違いです。


アドリブソロに興味がある方は、どれでも良いので突き進んでみて下さい。
遠回りは特にありません。
近道もありません。


急斜面を登るのか、なだらかな道を登るのか。
まるで人生と同じですね。
どちらにも価値があります。


さて、これでこのシリーズは終了です。

旅行記よりはずいぶん楽でした。

また機会があればシリーズものも載せたいと思います。

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